先日の記事では、所得税、法人税、消費税の税額を計算するために必要な「帳簿書類の備え付け」についてまとめました。
今回は、「記帳」です。
「記帳」とは、取引を行った年月日、内容(軽減税率の対象品目である場合には、その旨)、税率の異なるごとに区分した金額、相手方の氏名または名称など必要事項を整然とはっきり記載しなければなりません。
また、ひとつひとつの取引ごとに日々記載するのが原則であり、日々記帳された帳簿には証拠能力があるとされています。
単純に「記帳」と言っても、業種や会社、取引内容によって、様々な形をとります。
当然、なるべく均一な「記帳」を行いたいのですが、実際には、会社ごとで記帳の方法はまったく違うのが現実です。
このパターンは、これ。あのパターンは、あれ。みたいにできれば良いのですが、そんなにうまくは行きません。
どんな仕事でも同じではありますが、法律や会社の取引が変わる中で、常に最良の「記帳」のかたちを探しているのです。
決算書等の「帳簿」は本来、期間損益の比較であったり、作成時点における企業の実態をあらわす書類ではあります。
しかし、実際には、税理士事務所が作成する「帳簿」は、企業実態の把握という目的よりも、税務調査があることを前提に税務署職員に対して、「帳簿」が明瞭かつ公正であることに重点が置かれています。
最近、特に銀行から融資を受ける際には、前提として試算表の提出を強く求められます。
しかし、もともと銀行員で融資を担当していて、かつ、現在、試算表を作っている立場の私が言うのは問題があるのですが、試算表は、所得計算を補足するための明細書に過ぎず、本当は、企業実態をあらわすものでもないです。3期分の決算書と試算表をみて、企業の実態や将来性なんてわかるわけないですよ。
銀行や保証協会の都合が優先されるので、試算表の結果がよければ、融資が受けやすく、逆に悪ければ融資が受けれないみたいな問題は、本当はあんまりないですよね。試算表の結果が良くても、無担保融資の限度なんて、あんまり変わらないですよ。ほんと。
次回につづく。